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2005/07/09

実験:トマトソースの煮込み方を比較

tomato-canトマトの缶詰には、ホールトマトとカットトマトがありますが、トマトベースのソースをつくる場合は、ホールトマトを使います。

ホールトマトにも色々種類がありますが、やっぱり甘味と酸味のバランスが良く、身が柔らかいサンマルツァーノ種が一番です。サンマルツァーノは、細長い形をしているので、缶の絵を見れば一発で分かるでしょう。

もちろん、サンマルツァーノにもいろんな品種があって、サンマルツァーノの純種、他の品種と交配させたもの、様々です。1缶100~150円くらいのものは、たいてい交配種で、純種はちょっと高めになります。

やはり値段に比例するもので、純種はより濃厚な味わいに仕上がります。

とは言え、100円の缶でも十分おいしいので、僕はほとんどこちらを使います。


さて、今回は、そのホールトマトの実験です。

ホールトマトは、煮込むことで甘味が生まれ、とてもおいしく仕上がります。
では、煮込む時間によって、どんな変化が生じるのでしょうか。また、煮込み方による差はあるのでしょうか。

そこで、煮込む時間、火力の2軸で4種類のソースをつくり、比較してみることにしました。

tomato-4A:強火~中火で8分
B:弱火で20分
C:強火~中火で20分
D:弱火で35分

強火~中火は、トマトソースがぐつぐつ沸騰している状態を維持するよう火力を調整しています。
とくにCの場合、後半かなり煮詰まったので、途中から弱火に落として焦げないようにしています。

また、もともとABCの3つを比較するつもりでしたが、急遽Dも試したくなったので、Bを少し残して更に煮詰めました。その為、分量が少ないのですが、比較するには十分でした。

尚、ホールトマトを煮込むとアクが出ますが、これは取り除きません。
味を見れば分かりますが、アクというよりうまみ成分です。




tomato-a
A 少し甘味が引き出されましたが、かなり酸味が残っています。








tomato-b
B こちらも甘味が引き出されましたが、かなり酸味が残っています。








tomato-c
C こちらは、かなり甘味が引き出されていて、酸味がやや少なくなっています。かなり濃厚な味わいの仕上がりです。








tomato-c
D ここまで煮詰めると、甘味は相当なものですが、酸味はほとんど消えています。濃厚な仕上がりです。











どうやら火力よりも、どれだけ濃縮されたか、がポイントのようです。

AとBは、見た目に差がほとんど無く、味にも差はほとんどありませんでした。
BとCは、加熱時間は同じですが、見た目・味にかなり差があります。また、Dも、他の3つとは見た目・味にかなり差がありました。


tomatopasta-4では、パスタと合わせてみましょう。

パスタは、バリラ・スパゲッティー 1.7mmを使用。お吸い物程度の塩分濃度でアルデンテに茹で上げ、トマトソースと絡めます。
ソースには、それぞれ適量の茹で汁を加えますが、濃縮の具合で茹で汁の量は変えました。
(少)A・B→C→D(多)です。







tomatopasta-a
A 酸味が効いて、さわやかな味わいに仕上がりました。









tomatopasta-b
B こちらも酸味が効いて、さっぱりさわやかな仕上がりです。









tomatopasta-c
C こちらは、かなり濃厚な味わいに仕上がりました。甘味が深く、酸味を少し感じます。僕は、この仕上がりでつくる機会が多い。









tomatopasta-d
D こちらになると、甘味がとても深く、濃厚な仕上がりです。酸味はほとんどありません。










< まとめ >

AとBに差はほとんどありませんでしたので、「トマトソースの仕上がりには、火力はあまり関係が無く、どれだけ濃縮したかによって、ほとんど決まる」との結論に至りました。

終わってみれば、分かっていたことの再確認に過ぎませんでしたが、改めて実験することで、確固たる自信を得ることが出来たと思います。


さて、トマトソースの仕上げ方についてですが、ABCDの中で、コレがベスト!というものはありません。レシピのコンセプトやストーリーに合わせて、使い分ければ良いと思います。

ポモドーロ(シンプルなトマトソース)やボンゴレ・ロッソには、ABを。
アマトリチャーナやペスカトーレにはCを。
ボロネーゼなどラグー系にはDを。

基本的にはこんな感じでしょうか。

もちろん、ボロネーゼにフレッシュ感のあるAを組み合わせてもいいと思いますし、濃厚なCでつくるポモドーロもおいしいものです。いろいろ試して、自分らしさを演出できるソースをつくれれば最高ですね。


ranking04参考になったら、投票して下さい。

◇後日追記

今回、トマトソースを煮込む際、火力の強弱で差は出ない、という結論に達しました。
ただし、オリーブオイルは、火力が強いと香りがすぐに飛んでしまうので注意が必要です。

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コメント

関東グルメオフ開催しております。
会長のそよ風です。宜しくお願い致します。
僕はパスタ大好きで休日はパスタ三昧でーす。

投稿: そよ風hiro | 2005/07/10 09:46

はじめまして♪

>終わってみれば、分かっていたことの再確認に過ぎませんでしたが、改めて実験することで、確固たる自信を得ることが出来たと思います。

なかなかできないことだと思います!
「そうだろうな・・・」と思ったまま私も生きていこうとしていました(大げさ!?)。
こういう実験をしていただいて、まるで自分が実験したかのように納得!
ありがとうございました!
↓のナスとバジルのパスタ、今から作ってブランチにしよ〜♪ 
ブランチにしても、遅すぎますね・・・(^^;)

投稿: nao-photos | 2005/07/10 13:37

最高です!!最高の記事!
今後、何度この記事に訪れる事になるでしょう。

プリントアウトして、我が家の台所に貼っておいても、いいですか・・・?

投稿: chami | 2005/07/10 14:47

はじめまして。しばらく前から楽しく拝見しております♪
とくにローマ風カルボナーラは御レシピを参考に初めて挑戦し、
今ではしばしば美味しくいただいております。ありがとうございます!
トマトをベースにする時、わたしはよく煮込んだところに最後、
生トマトを少し入れてさっと火を通すんですが、邪道でしょうか??
これからも更新を楽しみにしております☆

投稿: ぽん | 2005/07/10 17:35

いつもいつも楽しみに見ております♪
こちらのサイトで、ゆで汁をソースに加えると
パスタとの相性が抜群にアップすることを教えていただきました。
カルボナーラをはじめて作った時もお世話になりました。
これからもよろしくお願いします。

投稿: kaoru | 2005/07/10 18:41

パスタ大好きなので我慢できずコメント残さしていただきますっ。
おいしいパスタが作りたいなといつも思ってるんですが、料理下手なんでいつも食べるの専門になっちゃってます(笑
トマト缶は私も大好きなんですが、煮込み方次第でこんなに風合、味が変わるもんなんですね~(驚
他のレシピもとてもわかりやすく書いてくださってるので、とても参考になりますっ!
私もがんばってパスタ作りチャレンジしてみようと勇気が出てきました!
これからも、時折お邪魔させて頂きますのでよろしくお願いします♪

投稿: ひややっこ | 2005/07/10 19:48

>そよ風hiroさん

こんにちは。こちらこそ、宜しくお願いします。
僕はパスタのブログを書いてますけど、パスタより魚料理をつくったり食べる機会の方が多くて、パスタはせいぜい3回/週ですw
魚は、えぇ、毎日…。

>nao-photosさん

はじめまして。いろんな国に行かれてるんですね。僕も、モルディブ・パラオ・ポナペ・インドネシア・オーストラリア…いろんなところに行きましたけど、全部釣りです。これでも建築屋なので、いろんな文化に触れておくべきだとは思うのですが、どうしても巨大魚に目が…。
実家がインドネシアで、義理の姉がシンガポールにいるんですけどね。

>chamiさん

お褒めの言葉、ありがとうございます。
でも、トマトソースを温めながら、味見をしまくれば、すぐ体感できますので、キッチンを駄文で汚す必要は無いですヨ。
ともあれ、これからも宜しくお願い致します。

>ぽんさん

フレッシュトマトを最後に加えるのは、ソース云々より具材としてですね。
フレッシュの場合、煮込むと甘くなりすぎるので、ホールトマトと併用する場合は、それがベストだと思います。
もしくは、「カプレーゼ風ポモドーロ」で紹介した、お手軽ドライトマトにするのも一興です。

>kaoruさん

お役に立てて光栄です。
茹で汁は、パスタに絡めながら加える料理人もいますが、僕は予めソースに加えて、乳化させるようにしています。この方が手早く、確実にソースをパスタに絡められますし、適度な濃度にしやすいですよね。

>ひややっこさん

トマトベースのソースをつくるのに、ホールトマトの缶詰は欠かせません。プロの料理人の中には、毎年、各社の缶詰を味見して、その年に使うブランドを決める、なんて方もいます。
アマチュアの僕たちには、ちょっと手が出ない世界ですが、それだけ、この缶詰は奥が深いのだと思います。

本当は、缶詰ブランドの比較をした方が、皆さんにも参考になるのでしょうが、この通り、トマトも収穫年によって味が変わるようなので、今回は煮込み方の比較にしました。
これからも宜しくお願いします。

投稿: パスタレシピ研究会 | 2005/07/10 23:19

こんにちは。
こういう実験いいですね。見てて本当に参考になります^^
僕はけっこうフレッシュな感じのソースが好きなんでBぐらいのが多いですかね。
こいつにカットしたフルーツトマトを加えて甘みをプラスしてやったりすることもあります。
逆にCぐらいで酸味づけにドライトマトを刻んで加えたりバルサミコ加えても美味しいですよね。

しかし、こういうことをやっているパスタレシピ研究会さんには本当に頭がさがる思いです。

投稿: kuraki | 2005/07/12 12:39

>kuraki先輩

達人に、お世辞でも「参考になります」と言われてしまうと、とてもモチベーションが上がります。
これからも、色々教えて下さい。宜しくお願い致します。

投稿: パスタレシピ研究会 | 2005/07/12 15:28

サーモンのパスタ作りました!本当に簡単で美味しかったです!どれも全部美味しそうでゆっくりと参考にしながら作っていこうと思います。
質問なんですが、私は現在上海に住んでいます。
簡単にトマトホール缶が手に入らないのですが、生のトマトを使う時はどのように下準備したら良いでしょうか?

投稿: mica | 2008/01/28 09:39

こんにちわ。はじめまして^^ 豆に拝見させてもらってます。 実は私もトマトソースは色々試しました。
特に濃厚なソースで酸味が少ない物が好きなので、色々作りました。 あくまでも私の感覚ですが、同じ種類のトマト缶でも製造年月日(トマト収穫時期)の違いで
酸味が違った気がしました。 ですから違うトマト缶で同じ時間煮つめても酸味が違うと思ったんです・・・が
どうでしょうか?? この実験も私のドストライクゾーンです。 大変勉強になりました^^

投稿: パスタ泥棒 | 2010/06/26 23:03

こんにちわ。はじめまして^^ 豆に拝見させてもらってます。 実は私もトマトソースは色々試しました。
特に濃厚なソースで酸味が少ない物が好きなので、色々作りました。 あくまでも私の感覚ですが、同じ種類のトマト缶でも製造年月日(トマト収穫時期)の違いで
酸味が違った気がしました。 ですから違うトマト缶で同じ時間煮つめても酸味が違うと思ったんです・・・が
どうでしょうか?? この実験も私のドストライクゾーンです。 大変勉強になりました^^

投稿: パスタ泥棒 | 2010/06/26 23:03


はじめまして!
記事読ませてもらいました。
うちでトマトソースのパスタを何度か作ったのですが、酸味は問題はないのにうまみという点で困ってしまいました。

何か決め手になるものなど、ポイントやアドバイス等ありましたら教えてください(^-^)
お願いしますm(__)m(o・ω・)ノ))

投稿: もえぴ | 2012/02/21 18:46

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