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2005/08/06

基本ワザ:茹で汁と乳化

パスタの茹で汁は、ソースをおいしく仕上げるために、とても大切です。

なぜ茹で汁を加えるのか、理由は3つです。

1.ソースに塩味を加えるため
2.ソースにパスタのうまみを加えるため
3.ソースを乳化させて、滑らかに・ジューシーに仕上げるため


それぞれ解説します。




1.ソースに塩味を加えるため

パスタのソースは、茹で汁で塩味をつけます。もちろん、ソースによっては、直接塩を加えたり、アンチョビやパンチェッタなど塩分を含む食材からも塩が出ますが、茹で汁を加えることで、塩が均一にソースに行き渡ります。

とくにオイルベースのソースの場合、茹で汁はとても重要になります。なぜなら、オイルに塩が溶けないからです。

nyuuka-oilandsalt

画像は、オリーブオイルに塩を入れ、ぐるぐるかき混ぜたものです。
ご覧の通り、塩はオイルに溶けません。これは、常温でも加熱した状態でも同じです。

正確に言えば、かすかに塩味がつきますが、これはオイルに溶けたのではなく、オイルの中を塩の結晶が浮遊しているに過ぎません。しばらく放置すると沈殿し、塩味はしなくなります。







2.ソースにパスタのうまみを加えるため

茹で汁には、パスタから溶け出した小麦のうまみが含まれています。
これをソースに加えることで、ソースのうまみが深まります。

ただし、だからと言って、パスタを茹でる時に、必要以上にかき混ぜて、小麦を溶かそうとしてはダメです。
パスタの表面には、うっすらキズがついています。これは、ソースと絡みやすくするため、わざとキズをつけているのです。

ボコボコ沸騰させたり、ぐるぐるかき混ぜてしまうと、パスタの表面のキズが埋まってしまい、ソースに絡みにくくなってしまいますので、ご注意下さい。

尚、ショートパスタはくっつきやすいので、ロングパスタより混ぜながら茹でる必要があります。





3.ソースを乳化させて、滑らかに・ジューシーに仕上げるため

最後は乳化です。

例えば、水と油はかき混ぜると、一時的に混ざるものの、すぐ元に戻ってしまいます。ところが、石鹸を加えてかき混ぜると、白く濁って混ざります。この現象が乳化で、石鹸など混ぜるために必要なものを乳化剤とか界面活性剤、混ぜることを攪拌(かくはん)と言います。

乳化の説明には、水+油+石鹸がよく使われますが、その他、牛乳、マヨネーズ、バター、ドレッシングなど、身の回りに乳化したものをたくさん見つけることができます。

パスタでは、とくにオイルベースの場合、オリーブオイルと茹で汁が混じり合って乳化することは、とても大切になります。

乳化していないと、油っぽくなったり、逆にパサパサしたりしてしまいます。
オイルベースと言っても、オイルまみれではダメです。

乳化したオイルソースは、滑らかでジューシーで、とてもおいしく仕上がります。
乳化はそれほど難しくないので、ぜひ体得しましょう。

nyuuka1

オリーブオイルに水を入れた状態。
まさに、水と油の状態です。






nyuuka2
フライパンをゆすって攪拌(かくはん)させました。
水の塊が小さくなりましたが、混ざるには至りません。




nyuuka3
次に、塩水とオリーブオイルを混ぜました。
やはり、混ざりません。





nyuuka4
最後に、茹で汁とオリーブオイルです。
フライパンをゆすって攪拌(かくはん)します。





nyuuka
しばらくすると、オリーブオイルと茹で汁が混じり合いました。乳化です。
尚、このケースでは加熱しませんでした。加熱しなくても、十分乳化します。






この場合、パスタから溶け出したグルテンなどのタンパク質やでんぷんが乳化剤となっているのでしょうか。
いずれにせよ、茹で汁を使えば、塩味が効いて、小麦のうまみが加わり、オリーブオイルと乳化して、とてもおいしいソースに仕上がります。

特に、オイルベースのソースや、カルボナーラでパンチェッタの脂と茹で汁を乳化させる場合などは意識して行います。


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コメント

ちょっと お尋ねします
あなたにとって、子供のころに食べたパスタのイメージは どんなパスタですか? ちなみに 私は ケチャップいっぱいの ナポリタン です。
部活の帰り、友達と財布の中身と相談しながら、学校の近くの喫茶店でよく食べました。

投稿: チボ | 2005/08/07 15:11

>チボさん

子供の頃は、洋食メニュー的なパスタばかりでした。それが普通だと思いますけど。
パンチェッタやプロシュート(イタリアの生ハム)などは、1996年まで輸入が禁止されていましたから、子供の頃からイタリアテイストあふれるパスタを食べているとしたら、現役の子供か、イタリアに住んでいた方くらいじゃないでしょうか。

投稿: パスタレシピ研究会 | 2005/08/08 01:08

とっても参考になりました。
茹で汁を入れるのは、ソースを煮込んでいるうちに水分が蒸発するのを補い、ついでに味もつけちゃおう、ぐらいに思ってました。ちゃんと理由があったんですね。

投稿: ポコ | 2005/10/05 21:32

>ポコ さん

はじめまして。
茹で汁の使い方を覚えると、とても舌触りの良いパスタに仕上がります。ぜひお試し下さい。

投稿: パスタレシピ研究会 | 2005/10/07 01:07

ありがとうございます。
私はてっきり水溶き片栗粉のとろみ付けのように煮汁か、もしくは溶け出した小麦粉が足りないものと思ってずっと調節していたのですが、この記事のおかげで足りないものが実はオリーブオイルだったとようやく気づきました。

やっぱり、料理は化学だと改めて再認識です(理系人間)

投稿: uzumaki7 | 2005/12/03 22:57

>uzumaki7さん

これ、言われてみないと、なかなか分かりませんよね。でも、理屈を理解すると、とても簡単ですし、応用も利きますので、やっぱり化学ですね。
これからも宜しくお願いします。

投稿: パスタレシピ研究会 | 2005/12/07 01:39

はじめまして、ねこと申します。
「パスタレシピ研究会」サンで、「乳化」というワザを知り、お勉強させていただきました。
その他にも、色々お勉強させていただくワザがたくさんあり、本当に感謝しています。

投稿: ねこ | 2006/02/07 13:29

>ねこさん

こんにちは。僕も猫派です。が、猫アレルギーなので、家で飼うとくしゃみが止まらなくなってしまいます…。

家庭の料理は、気軽に・楽しく・おいしく・健康的・経済的が一番だと思いますが、一歩上を目指そうとすると、やはりワザが要ります。そんなワザを、これからも追求したいと思います。宜しくお願いします。

投稿: パスタレシピ研究会 | 2006/02/07 22:57

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