トマトの缶詰には、ホールトマトとカットトマトがありますが、トマトベースのソースをつくる場合は、ホールトマトを使います。
ホールトマトにも色々種類がありますが、やっぱり甘味と酸味のバランスが良く、身が柔らかいサンマルツァーノ種が一番です。サンマルツァーノは、細長い形をしているので、缶の絵を見れば一発で分かるでしょう。
もちろん、サンマルツァーノにもいろんな品種があって、サンマルツァーノの純種、他の品種と交配させたもの、様々です。1缶100~150円くらいのものは、たいてい交配種で、純種はちょっと高めになります。
やはり値段に比例するもので、純種はより濃厚な味わいに仕上がります。
とは言え、100円の缶でも十分おいしいので、僕はほとんどこちらを使います。
さて、今回は、そのホールトマトの実験です。
ホールトマトは、煮込むことで甘味が生まれ、とてもおいしく仕上がります。
では、煮込む時間によって、どんな変化が生じるのでしょうか。また、煮込み方による差はあるのでしょうか。
そこで、煮込む時間、火力の2軸で4種類のソースをつくり、比較してみることにしました。
A:強火~中火で8分
B:弱火で20分
C:強火~中火で20分
D:弱火で35分
強火~中火は、トマトソースがぐつぐつ沸騰している状態を維持するよう火力を調整しています。
とくにCの場合、後半かなり煮詰まったので、途中から弱火に落として焦げないようにしています。
また、もともとABCの3つを比較するつもりでしたが、急遽Dも試したくなったので、Bを少し残して更に煮詰めました。その為、分量が少ないのですが、比較するには十分でした。
尚、ホールトマトを煮込むとアクが出ますが、これは取り除きません。
味を見れば分かりますが、アクというよりうまみ成分です。

A 少し甘味が引き出されましたが、かなり酸味が残っています。

B こちらも甘味が引き出されましたが、かなり酸味が残っています。

C こちらは、かなり甘味が引き出されていて、酸味がやや少なくなっています。かなり濃厚な味わいの仕上がりです。

D ここまで煮詰めると、甘味は相当なものですが、酸味はほとんど消えています。濃厚な仕上がりです。
どうやら火力よりも、どれだけ濃縮されたか、がポイントのようです。
AとBは、見た目に差がほとんど無く、味にも差はほとんどありませんでした。
BとCは、加熱時間は同じですが、見た目・味にかなり差があります。また、Dも、他の3つとは見た目・味にかなり差がありました。
では、パスタと合わせてみましょう。
パスタは、バリラ・スパゲッティー 1.7mmを使用。お吸い物程度の塩分濃度でアルデンテに茹で上げ、トマトソースと絡めます。
ソースには、それぞれ適量の茹で汁を加えますが、濃縮の具合で茹で汁の量は変えました。
(少)A・B→C→D(多)です。

A 酸味が効いて、さわやかな味わいに仕上がりました。

B こちらも酸味が効いて、さっぱりさわやかな仕上がりです。

C こちらは、かなり濃厚な味わいに仕上がりました。甘味が深く、酸味を少し感じます。僕は、この仕上がりでつくる機会が多い。

D こちらになると、甘味がとても深く、濃厚な仕上がりです。酸味はほとんどありません。
< まとめ >
AとBに差はほとんどありませんでしたので、「トマトソースの仕上がりには、火力はあまり関係が無く、どれだけ濃縮したかによって、ほとんど決まる」との結論に至りました。
終わってみれば、分かっていたことの再確認に過ぎませんでしたが、改めて実験することで、確固たる自信を得ることが出来たと思います。
さて、トマトソースの仕上げ方についてですが、ABCDの中で、コレがベスト!というものはありません。レシピのコンセプトやストーリーに合わせて、使い分ければ良いと思います。
ポモドーロ(シンプルなトマトソース)やボンゴレ・ロッソには、ABを。
アマトリチャーナやペスカトーレにはCを。
ボロネーゼなどラグー系にはDを。
基本的にはこんな感じでしょうか。
もちろん、ボロネーゼにフレッシュ感のあるAを組み合わせてもいいと思いますし、濃厚なCでつくるポモドーロもおいしいものです。いろいろ試して、自分らしさを演出できるソースをつくれれば最高ですね。
参考になったら、投票して下さい。
◇後日追記
今回、トマトソースを煮込む際、火力の強弱で差は出ない、という結論に達しました。
ただし、オリーブオイルは、火力が強いと香りがすぐに飛んでしまうので注意が必要です。